認知症は誰にでも起こりうる身近な病気です。介護の現場でも多くの方が認知症と向き合っており、ご家族にとっても「どう接すればいいのか分からない」と悩みが尽きません。この記事では、認知症介護の基本と、家族が実践できる対応のコツをわかりやすく解説します。
認知症とは?
認知症は、記憶・判断力・理解力などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します。加齢に伴う「もの忘れ」とは異なり、進行すると生活全般に影響を与えることが特徴です。
代表的な症状には以下があります。
- 記憶障害(同じことを何度も聞く)
- 見当識障害(時間や場所が分からなくなる)
- 判断力の低下(買い物や金銭管理が難しくなる)
- 行動・心理症状(徘徊、不安、興奮など)
家族ができる基本的な対応の姿勢
1. 否定しないで受け止める
「さっき言ったでしょ」「そんなことはないよ」と否定すると、不安や混乱が強まります。まずは受け止めて、安心できる言葉をかけることが大切です。
2. 環境を整える
部屋を片付け、よく使う物の置き場所を固定するなど、見通しやすい環境を作ることで混乱を減らせます。
3. 生活リズムを整える
毎日の起床・食事・入浴・就寝の時間をできるだけ一定に保つことで、不安や行動の乱れを和らげる効果があります。
4. 達成感を感じられる活動を取り入れる
簡単な家事や趣味活動を一緒に行うと、自尊心を保ちながら生活できます。
困ったときの対応のコツ
- 徘徊がある場合 → 靴や衣類に名前や連絡先を記入。地域包括支援センターと連携して見守り体制を整える。
- 暴言や拒否がある場合 → 原因は「不安」「不快感」であることが多い。状況を観察し、環境調整や声かけ方法を工夫する。
- 物忘れがひどい場合 → メモやカレンダーを活用。重要なことは家族が一緒に確認して支える。
家族が無理をしない工夫も大切
認知症介護は長期戦になりやすく、家族の負担が大きくなりがちです。
- デイサービスやショートステイを利用して休息を取る
- ケアマネジャーに相談して介護サービスを組み合わせる
- 同じ悩みを持つ家族会に参加して気持ちを共有する
家族が元気でいることが、結果的に認知症の方を支える大きな力になります。
まとめ
- 認知症は「否定せずに受け止める」姿勢が大切
- 環境整備と生活リズムが混乱を防ぐカギ
- 困ったときは一人で抱え込まず、専門職や制度を活用する
介護は完璧である必要はありません。「できることを、できる範囲で」が基本です。認知症の方とご家族が少しでも安心して過ごせるように、まずは小さな工夫から取り入れてみましょう。


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